ジャパン国試合格

第28回柔道整復師国家試験 【午後】問題118

柔道整復理論

問題118

20歳の男性。自転車のタイヤ交換のためレバーを強く握った際、左示指MP関節部に突然の痛みを自覚した。以降、MP関節の完全伸展が不能となり来所した。初検時、関節部に軽度の腫脹と中手骨頭橈側に圧痛を認めた。示指MP関節-30度まで伸展は可能であるが、それ以上の他動的伸展は不能であった。外観写真(別冊No.8)を別に示す。他指の関節運動は正常である。

最も考えられるのはどれか。

  1. 示指基節骨が背側に転位している。
  2. MP関節内に掌側板が嵌入している。
  3. 橈側側副靭帯が中手骨頭に乗りあげている。
  4. 指伸筋腱が橈側に脱臼している。

 

 

解答:2or3 (不適切問題となる可能性あり

ジャパン国試合格の見解   解答3

難解問題です。

柔道整復学(理論編)5p311にあるように、症状、及び明らかな受傷機転が認められないことから第2MP関節のロッキングフィンガーと推測されます。

しかし、すっきりとした解答が見つかりません。最も近いものに感じるのは選択肢3なのですが、この表現に違和感を覚えます。

教科書内で第2MP関節ロッキングは側副靭帯のうち副靭帯が骨棘などに引っかかり生じる事が多いとあります。また第1指では副靭帯が付着する掌側板がロッキングへ影響することを示していますが、第1指以外のロッキングについては掌側板の影響に触れている記載はありません。
それを踏まえますと、選択肢2の「MP関節内に掌側板が嵌入している。」という表現は教科書内での第1指ロッキングとの鑑別ともとれます。また設問の中にも、「中手骨頭橈側に圧痛を認めた。」とあることから掌側にある掌側板の影響を示唆する表現が見当たりません。

続いて選択肢3についてです。参考書によっては副靭帯は側副靭帯の一部分として扱われているものもありますが、柔道整復学(理論編)の教科書においては側副靭帯と副靭帯は別の靭帯として扱われているような表現を受けます。これは第6版の教科書においても同様です。(参照:第6p325

それに基づきますと「橈側側副靭帯が中手骨頭に乗りあげている。」という表現は、本来のロッキングフィンガーの原因とある「副靭帯が骨棘などに引っかかり生じる。」という表現とは、靭帯名においても状況においてもどちらも異なっている事になります。

 おそらく他に明らかな正解の選択肢があるのならば「誤り」と扱われてもおかしくないと考えます。

 結果として他の選択肢14にも目が向きますが、選択肢1のような事が起これば受傷機転から考えてそれは病的であるといえますし、選択肢4が起こってもロッキングをするようには考えにくいと思われます。

ジャパン国試合格としては、このうち悩んだ末に3を選ぶ事としました。

それは問題作成者が「橈側副靭帯が骨棘などに引っかかり生じる。」という表現のつもりで「橈側側副靭帯が中手骨頭に乗りあげている。」という表現を使った可能性しか考えにくいと解釈したためです。しかし選択肢2を正解とした学校の気持ちも理解できます。

 選択肢3を誤りとした中から他の選択肢を選ぶとするならば、教科書とは異なる内容であるが例外的に掌側板が嵌入した可能性を考え2を選択せざるを得ないと思います。

選択肢の内容が教科書に明確に記載が無い以上、解答については問題の作成者がどのような意図でこの問題を作成したのか?に左右されます。

 「不適切問題」として扱われる可能性も想定されますので、念のため採点の際には加点の対象にしない方が適切であると思われます。