B:柔道の理念

B:柔道の理念

続いて「B:柔道の理念」です。

○1.柔道の目的

・嘉納治五郎師範は、柔術という武術のみならず知育・徳育・体育としても有効であると感じ、名称を「柔道」とした。「まず根本となる『道』があって『術』というのはむしろその応用である」ということを示し、単なる技術訓練にとどまらず、修行を通じて人間の道を学ぶことに主眼を置いた。

・嘉納師範は、講道館柔道の目的として、心身の鍛錬としての「体育」、攻撃防御の技術としての「勝負」、人間の道を学ぶ「(しゅう)(しん)」を掲げた。

・また、柔道修行の方法として、「乱取(らんどり)」、「(かた)」、「講義(こうぎ)」、「問答(もんどう)」の4つを掲げた。「乱取」は自由な動きのなかで実際の攻撃防御を学ぶ方法であり、「形」はあらかじめ理論に基づいて組み立てられた攻撃防御の方法による練習方法である。「講義」によって、柔道のみならず、社会のさまざまな事柄や一般常識、心得などを学び、「問答」によって指導者と教え子の対話を通じて理解を深めることが重要であるとした。

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○2.嘉納治五郎師範 遺訓

・講道館の大道場正面には、嘉納治五郎師範の次の言葉が遺訓として掲げられている。「柔道は心身の力を最も有効に使用する道である。その修業は攻撃防御の練習に由(よ)って身体精神を鍛練修養し、斯道(しどう)の神髄(しんずい)を体得することである。そうしてこれに由って己を完成し世を補益(ほえき)するが、柔道修行の究竟(きゅうきょう)の目的である」。意味は、「柔道の精神に基づいて修行に励み、自己を完成して社会に貢献すること」である。

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○3.精力善用・自他共栄について

1922(大正11)年に講道館文化会が発足し、そのなかで嘉納師範は、柔道の根本理念として「精力(せいりょく)善用(ぜんよう)」「自他(じた)共栄(きょうえい)」を発表した。

・嘉納師範は、柔道が「善」を目的として「心身の力(精力)を最も有効に使用する道」であるとし、「精力善用」を掲げた。また、その善は「団体生活の存続発展を助けるもの」であるとした。

・そのためには、各々が互いに助け合い、譲り合い、融和強調しながら自分と他人が共に栄えなければならないとして、「自他共栄」を示した。

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○4.講道館柔道の「形」について

・講道館柔道では、投げ技、固め技(かた わざ)、当身(あてみ)(わざ)を三大技術部門として位置づけた。だが、打つ・突く・蹴るなどの技術で構成される当身技は危険なため、「(かた)」の稽古でのみ行われた。

・「形」には、投げ技の理合を示した「(なげ)の形(かた)」と固め技の理合を示した「(かため)の形(かた)」、「真剣勝負の形」として制定された「(きめ)の形(かた)」、緩やかな柔の理合を示した「(じゅう)の形(かた)」、起倒流をもとにつくられた「古式(こしき)の形(かた)」、水の流れを表現した「(いつつ)の形(かた)」、現代社会における実践的な護身方法を形にした「(こう)道館(どうかん)護身術(ごしんじゅつ)」などがある。他に「精力善用国民体育」、「講道館女子護身法」などがある。

・このうち、「投の形」と「固の形」は合わせて「乱取の形」という。

・「投の形」は、手技・腰技・足技から成る「立技(たちわざ)」と、真(ま)捨身(すてみ)技(わざ)・横(よこ)捨身(すてみ)技(わざ)から成る「捨身(すてみ)技(わざ)」の計15本で構成される。

・「固の形」は抑(おさ)え込(こ)み技・絞め技・関節技のそれぞれから代表的な技を5本ずつ、計15本を組み合わせたものである。

いよいよ中盤、次は「C:審判規定に準じた服装・態度」です。